はじめに
本記事ではChatGPTを効果的に活用するためのテクニックである「Few-shot learning」について紹介します。Few-shot learningを使うことで、ChatGPTの出力の精度を向上させたり、出力の形式を制御することができるようになります。すぐに使えるプロンプト例も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください!
ChatGPTとは
「ChatGPT」とはOpenAIという会社が作った、対話型のAIツールです。あなたがコンピューターやスマホで友達とやり取りをするように、ChatGPTに何か文章で質問するとそれに答えてくれます。
ChatGPTはたくさんの本やインターネット上の文章を読んで学んでいるので、さまざまな質問に自然な言葉で答えることができます。たとえば、宿題の質問をしたり、ある話題について詳しく知りたいときなどに便利です。
ChatGPTは2022年に世界中に公開されてから、多くの人が使うようになりました。また無料で使えることから、公開からわずか5日で100万人以上のユーザーが登録しました。
今では仕事の場面で使われるだけでなく、学校の課題を助けてくれたり、日常生活でも様々な場面で使われています。
ChatGPTの始め方
ChatGPTを使うためにはアカウント登録が必要です。
アカウント登録は以下の公式サイトより可能です。無料プランを利用する場合にはクレジットカード等の登録は不要です。
プロンプトとは
ChatGPTを使うときには、ChatGPTにどのような質問をするかを指示する必要があります。この指示のことをプロンプトといいます。
例えばChatGPTに
晩御飯の献立を考えて
と質問すると、ChatGPTは晩御飯の献立を考えてくれます。このときの「晩御飯の献立を考えて」という部分がプロンプトです。
プロンプトにはChatGPTには上記のような質問を記述しても良いですし、何か解かせたいタスクや文章の校正、要約やアイデア出しなど、様々な使い方があります。
プロンプトエンジニアリングとは
プロンプトをどのように作成するかによって、ChatGPTの出力結果が大きく変わります。ChatGPTからより良い出力を得るために、プロンプトを工夫することを**プロンプトエンジニアリング**といいます。(厳密にはChatGPTだけでなく他の生成AI全般で使われる用語です)
プロンプトエンジニアリングとして既に様々な技術やノウハウが公開されていますが、現在進行形で新しいテクニックが発見されている分野でもあります。
Few-shot learningとは
今回はChatGPTを使ったプロンプトエンジニアリングの一つであるFew-shot learningについて紹介します。
Few-shot learningはプロンプト内にいくつかの具体例を記述することで、新しいタスクを理解させ、より正確な出力を得るための技術です。例えるなら先生からヒントをもらって問題を解くようなイメージです。 先生は、生徒に問題の解き方を直接教えるのではなく、いくつかの例題と解答を示すことで生徒が自分で問題の解き方を発見できるように導きます。
例えば「難しい文章を分かりやすく言い換える」というタスクでfew-shot learningを試してみましょう。
プロンプト
# 以下の言葉をわかりやすく説明する
## 「エピステモロジー」とは
出力
「エピステモロジー」とは認識論のことで、知識の起源、性質、範囲、および限界に関する哲学の一分野です。
エピステモロジーは、知識とは何か、どのようにして知識が得られるのか、どんな知識が真実であると言えるのか、知識の正当性はどのように評価されるべきかといった問題を扱います。
この例では「エピステモロジー」という言葉の意味を説明するプロンプトを与えて、その説明を出力してもらっています。確かに質問に対する回答は得られているのですが、もう少し噛み砕いた説明が欲しいという場合もあるかもしれません。
そこで「プロンプト」と「回答」の例を1つセットで与えてみましょう。この時の回答はプロンプトに「どのような説明が欲しいか」を意識して記載すると良いでしょう。
プロンプト
# 以下の言葉をわかりやすく説明する
## 「メタモダニズム」とは
## 回答
「メタモダニズム」という言葉は簡単に言うと、「新しいアイデアやアートのスタイル」についての考え方です。これは、過去に流行した「モダニズム」と「ポストモダニズム」という二つのアートのスタイルを組み合わせた新しい形です。
モダニズムは、たとえば建物や絵がシンプルで機能的なデザインを重視するスタイルでした。それに対して、ポストモダニズムは、もっと自由で、冗談を交えたり、いろいろなスタイルを混ぜたりすることが特徴です。
## 「エピステモロジー」とは
## 回答
これをChatGPTに入力すると以下のような回答が得られます。
回答
「エピステモロジー」という言葉は、もともとは「認識論」という学問のことを指します。
これは、「知識とは何か?」「人はどのようにして真実を知ることができるのか?」という質問に答えるための哲学の一分野です。
つまり、私たちが「知っている」と言えることの基準や、その知識がどこから来るのか、どのようにしてその知識が確かなものと言えるのかを研究する分野です。
「メタモダニズム」の説明と同様の形式で説明が出力されたのではないでしょうか。
このようにfew-shot learningを活用することで、ChatGPTの出力結果を制御することができるようになります。
One-shot learningとZero-shot learning
なお上記ではプロンプト内に1つの例を記述しました。このようにプロンプト内に1つの例を記述することをOne-shot learningと呼びます。また、プロンプト内に具体例を記述しないことをZero-shot learningと呼びます。
本文中学習(in-context learning: ICL)
なおFew-shot learningやOne-shot learningは、プロンプトで与えられた情報をその場で学習することから、本文中学習(in-context learning: ICL)とも呼ばれます。
Few-shot learningの活用例
Few-shot learningを使ったサンプルをいくつか紹介します。
アイデアの生成
Few-shot learningを使ってアイデアを出すこともできます。例えば「新しいビジネスアイデアを考えて」というプロンプトを与えると、ChatGPTは新しいビジネスアイデアをいくつか提案してくれます。この時にいくつかの例をプロンプトに記述することで、より具体的なアイデアを得ることができます。
プロンプト
# 新しいビジネスアイデアを考えて
- お客様が自分の好きなデザインを選んで、オリジナルのTシャツを作れるサービス
- お客様が自分の好きな食材を選んで、オリジナルのカップ麺を作れるサービス
- お客様が自分の好きな香りを選んで、オリジナルの香水を作れるサービス
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出力
新しいビジネスアイデアを考えるのは楽しいですね!他にもいくつか提案があります:
お客様が自分の好きな本を選んで、オリジナルのブックカバーを作れるサービス
お客様が自分の好きな写真を選んで、オリジナルのフォトブックを作れるサービス
お客様が自分の好きな色を選んで、オリジナルの家具やインテリアアイテムをカスタマイズできるサービス
どういった方向性でビジネスを展開したいか、またターゲットとする顧客層にどうアピールするかによっても、最適なアイデアが見つかるかもしれませんね。
要約
Few-shot learningを使って文章を要約することもできます。例えば「以下の文章を要約して」というプロンプトを与えると、ChatGPTはその文章を要約してくれます。この時にいくつかの例をプロンプトに記述することで、出力の形式や文章量などを制御することができます。
プロンプト
# 以下の文章を要約して
## 本文
現代社会における情報の過多は、個々の意識構造に対して著しく複雑な影響を及ぼしている。その結果、情報を適切に処理し、内部化する過程において、認識のパラダイムが変容する可能性がある。このように情報の冗長性が意識の選択メカニズムに干渉する現象は、認知心理学的な側面からも多角的に分析する必要があるため、情報の過剰がどのようにして個人の認知と行動に影響を及ぼすか、そのメカニズムを解明することが急務であると言えるだろう。
## 要約
現代社会では情報があふれており、これが私たちの思考や意識に複雑な影響を与えています。多くの情報を適切に処理し理解することが難しくなり、私たちの認識の仕方も変わるかもしれません。この問題を理解するためには、認知心理学の観点から情報がどのように私たちの行動や思考に影響を与えるかを詳しく分析することが重要です。
## 本文
経済活動におけるデジタルトランスフォーメーションの進展は、伝統的な産業構造を根底から覆す可能性を秘めている。しかしながら、これによって生じる潜在的なディスラプションは、既存の市場ダイナミクスにおいて一定の不均衡を引き起こす。その結果、技術革新がもたらす価値創出の機会とリスクの評価には、新たな理論的枠組みの確立が求められることとなる。この文脈で、革新的な技術が経済システムに与える影響を正確に捉え、それに適応する政策の策定が重要であると考えられる。
## 要約
出力
経済活動におけるデジタルトランスフォーメーションは、伝統的な産業構造に大きな影響を与える可能性があります。
しかし、この変化が引き起こす潜在的なディスラプションは、既存の市場ダイナミクスに不均衡をもたらす可能性があります。
新たな技術革新の評価とリスク管理には、新しい理論的枠組みの構築が必要です。この文脈で、革新的技術が経済システムに与える影響を理解し、それに対応する政策を策定することが重要です。
プロンプトエンジニアリングを学ぶならCodeCollege
プロンプトエンジニアリングのテクニックはこの他にもたくさんあります。
CodeCollegeの「プロンプトエンジニアリングコース」では、プロンプトエンジニアリングの基礎から応用までを学ぶことができます。プロンプトエンジニアリングのテクニックを身に付けたい方は、ぜひCodeCollegeのコースをチェックしてみてください。
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また疑問や不明点が生じた際、リアルタイムでのサポートが可能なチャットサポートを導入。気になる点を24時間いつでも質問可能です。ChatGPTを使う中で少しでも気になることが出てきたら、お気軽にご質問ください!
まとめ
本記事ではChatGPTを効果的に活用するためのテクニックである「Few-shot learning」について紹介しました。Few-shot learningを使うことで、ChatGPTの出力の精度を向上させたり、出力の形式を制御することができるようになります。ChatGPTを使う際にはぜひ本記事で紹介した技術を活用してみてください。
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